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「荷物も積めない、燃費も悪い」それでも自動車メーカーがスポーツカーを作る“意外な理由”
街中で、車高が低くてカッコいいスポーツカーを見かけたことはありませんか?

「わあ、カッコいい!」
そう思う反面、こんな疑問が頭に浮かんだことはないでしょうか。
「あんな狭い車、荷物も乗らないし、ガソリン代も高そう。
なんでわざわざ、あんな不便な車を作るんだろう?」
実はその疑問、とても的を射ています。
スポーツカーは、たくさん売れる車ではありません。
開発には多額のコストがかかる一方で、販売台数はミニバンや軽自動車の何分の一。
普通に考えれば、「大赤字」になりかねない商品です。
それでも、トヨタやホンダ、マツダといった大手自動車メーカーは、あえてスポーツカーを作り続けています。
そこには、単なるロマンや趣味ではない、**ビジネスとしての“賢い計算”**があるのです。
今回は、自動車業界の裏側にある
**「スポーツカーの本当の役割」**についてお話しします。
スポーツカーは「パリコレのドレス」と同じ存在
まずは、ファッションブランドを想像してみてください。
「パリ・コレクション(パリコレ)」のランウェイを歩くモデルが着ている服は、
とても派手で、奇抜で、正直なところ「普段着としては着られない」ものが多いですよね。
しかし、ショーを見た私たちはこう感じます。
「このブランド、おしゃれだな」
「最先端のデザインですごいな」
そして、その憧れのイメージを持ったままお店に足を運び、
普段使いできるTシャツやバッグを購入します。
自動車メーカーにとってのスポーツカーは、まさにこの
**「パリコレのドレス」**と同じ役割を担っています。
- スポーツカー(ドレス)
ブランドの技術力やセンスを象徴する“憧れの存在” - ファミリーカー・大衆車(Tシャツ)
実際に多くの人が購入し、利益を生む主力商品
「トヨタって、あんな速くてカッコいい車を作れる会社なんだ」
そう思ってもらえれば、その信頼感から
「じゃあ、家族で乗るミニバンもトヨタにしようかな」
という選択につながります。
この現象を、マーケティングの世界では
**「ハロー効果(後光効果)」**と呼びます。
つまりスポーツカーは、
**メーカー全体を魅力的に見せる“走る広告塔”**なのです。
「白物家電」にならないための必死の抵抗
スポーツカーを作る理由は、もう一つあります。
こちらは少し、切実な理由です。
近年の車は、どのメーカーも性能が高く、壊れにくくなりました。
「走る・曲がる・止まる」という基本性能だけで見れば、
正直なところ、メーカー間の差はほとんどありません。
これは、冷蔵庫や洗濯機を選ぶときに
「絶対にこのメーカーじゃなきゃダメ!」
というこだわりが薄れてきている状況とよく似ています。
このように、製品の差別化が難しくなる現象を
**「コモディティ化」**と呼びます。
自動車メーカーが最も恐れているのは、
自分たちの車が「ただの移動手段」、
つまり白物家電のような存在になってしまうことです。
そこで、スポーツカーの出番となります。
「私たちは、ただの移動手段を作っているのではない。ワクワクする体験を提供しているメーカーだ」
このメッセージを、言葉ではなく存在そのもので伝えられるのが、スポーツカーなのです。
「運転して楽しい車を作るメーカー」というイメージがあれば、
たとえ普通のコンパクトカーに乗ったとしても、
- なんとなく運転しやすい気がする
- 他の車より愛着が湧く
といった感覚につながり、
やがてブランドのファンになってもらいやすくなります。
まとめ:不便だからこそ、スポーツカーには夢がある
スポーツカーは、
- たくさん売るための車ではない
- 「ブランドのファン」を生み出すための存在
と言えます。
人の心を動かす**「憧れ」や「夢」**を作り出し、
その結果として、普段使いの車の売上を底上げしているのです。
こう考えると、街で見かけるスポーツカーの見え方が、
少し変わってきませんか?
あれは決して、メーカーの道楽で作られた車ではありません。
「私たちのブランドを好きになってください」
という、メーカーからの熱烈なラブレターなのです。
もし次に、街中でカッコいいスポーツカーを見かけたら、
ぜひこう思ってみてください。
「お、このメーカー、頑張ってるな」
きっと、車を見る目が少しだけ楽しくなるはずです。
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